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公正証書相談室

家訓を受け継ぐように指示したいとき


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家訓を遺言書に書いても法律上の効力はない

戦前の日本には、古来からの「家」制度が残っていましたから、相続の制度においても「家」の承継(家督相続)が中心でした。家督相続というのは、家の財産だけでなく、家の支配権も戸主(長男)が承継するという相続のことです。相続に際しては、家の掟である「家訓」も受け継がれるのが一般的で、遺言で家訓の承継を指示することもよくありました。戦後の民法改正で家督相続をはじめとする「家」制度は廃止されました。現代では、遺言で家訓を受け継がせるというのは珍しいことかもしれませんが、旧家などでは家訓を代々受け継いでいるという例もまだまだ残っているようです。ただ、「家訓を守るように」と遺言書に書いてあったとしても、法的な意味はまったくありません。あくまでも遺言者の希望であって、家訓を守るかどうかは遺族の気持ちしだいです。遺言書は遺言者の最後の意思を述べたものですから、基本的には何を書くのも自由ですが、遺言書に書かれた事柄のすべてが法律上の効力をもつというわけではありません。遺産の処理方法や認知など、遺言に法的な意味が認められるのは民法で定められた事柄についてだけです。

遺 言 書
 遺言者○○○○は本遺言書により次のとおリ遺言する。
    (1~5略)
6 皆も承知しているとおり、わが○○家は江戸時代より代々染物
 屋として、その技術と伝統を守ってきた。日頃より子どもたちに
 は言い聞かせてきたところであるが、遺言を定めるに当たり、改
 めて最後にわが家の家訓について述べることとしたい。
  すなわち、「創業は易し、守成は難し」である。創業は、当然
 創業者の力量に左右されるが、一方で時流に乗ることができれば
 一代で達成できるものである。しかし、長い年月、何代にもわ
 たって守成を行うには、時流に乗れるときもあれば、乗れないと
 きもある。むしろ、時流に乗れないときの方が圧倒的に長い。
 従って、博打のような冒険をせず、地道に家業に精を出すことが
 長続きする最大の秘訣である。
  上記1から5までに記載した財産の処理等は、この家訓の精神
 に基づき熟慮した結果であるから、各相続人は充分にその旨を噛
 み締めて誠実に実行してもらいたい。
平成○年○月○日
東京都○○区○○町○丁目○番○号
  遺言者  ○○ ○○  印



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